2017.1.13 川瀬&都響 ニューイヤー・コンサート2017
2017年1月13日
フルート:高木綾子
ハープ:吉野直子
東京都交響楽団
指揮:川瀬賢太郎
フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
前半はモーツァルトのコンチェルト2曲。ソリストが豪華ですね。中でも個人的にお目当てだったのが、東響首席である荒木さんのオーボエ。他の在京オケの首席奏者がソリストとして出てくるのは結構珍しいのではないでしょうか。しかし、彼女の力量を知っている人からすれば何ら違和感のある人選ではありません。しかも、彼女が第1位を受賞した「国際オーボエコンクール・軽井沢」でも吹いたモーツァルトを演るとなればなおさら。
実際、演奏も大変に素晴らしいものでした。ちょっと矛盾する物言いかもしれませんが、オーボエの魅力を満面に湛えた伸びのあるサウンドとリードの存在を感じさせない丸くて明晰な音の立ち上がり…愉悦感に満ちた音楽に心置きなく身を委ねることができましたね。
それにしてもまだ大学院に在学中の彼女、今後がますます楽しみです。
さて、後半はベートーヴェンの交響曲第7番。冒頭の和音で大きく振りかぶる川瀬さんの指揮。良いですね。まるでエースピッチャーがワインドアップからど真ん中にストレートを投げ込むような、そんな清々しさ。そして、この呼吸感こそが川瀬さんの音楽をいきいきとしたものにしているのだと思います。
演奏は、モダンオケによる正攻法なものと言って良いでしょう。第1楽章(提示部繰り返しあり)を過度に速いテンポで煽ることなく、付点のリズムをしっかり表出しているのにも好感がもてました。
第1楽章と第2楽章はアタッカで演奏。これは意表をつかれました。どのような意図かはわかりませんが、間を空けずに演奏してみると、あたかもシューマンの交響曲第4番のように聴こえてきて、これはちょっとした発見でもありました。
もしかして、全曲アタッカ?とも思ったのですが、以降はしっかり間をとって演奏。もっとも第1楽章でヴィオラのトップの方の弦が切れてしまうアクシデントがあったので、どこまでが予定通りだったのか定かではありませんが…。
都響にしては管楽器が部分的に不調だったりもしましたが、全体的には大いに満足できる演奏会でした。